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分かります。
また先程のアナ・ミヤレスさんのお話にも少し関係がありますが、「あなたはボランティア活動がどんな所で行われていると思いますか」という問いに対して「国や市町村など行政がしていないところで活動している」という答えの方は約30%。それから従来型の「国や市町村など行政だけでは足りないところを補っている」という考え方の方が約60%です。
この結果もボランティアを考えていく上で重要なことです。ボランティア活動の自主性をどのように考えるかという点では「自分たちの共同体を自分たちの手で創意工夫して、自分たちの考え方と幸せのために助け合って作りあげていくのがボランティアの役割で、行政とは別だ」と。つまり行政とは別の行動原理なり考え方で共同体を守り、活性化していくという考え方は約30%です。
またそうではなく、大多数の方はまだボランティア活動というのは行政の補完的な存在だと考えており、「自分たちがあえて参加しなくても行政がやってくれる、国や県、市町村がなんとかしてくれるはずだから、他人任せでもいい。だけども自分たちもなんらかの理由で参加したい」という方は約60%です。この結果は現在の日本のボランティアの状況を示していると思います。
それからもう少し厳しい質問があります。ボランティア活動に対する行政の関与ということで先程の質問と重複するのですが「ボランティア活動はもともと市民の自発的な行為で、普通の人がなんでもやるものだから、行政はそれを指導したり、援助したりすべきでない」という考えの方は、これはいろんな意味があると思いますが、わずか12%ぐらいです。逆に「ボランティア活動はもともと社会的な活動であるので行政が積極的に指導援助すべきである」と考えている方は80%を超えています。
このようにいろいろな意見が混ざり合うわけで答えをそのまま受け取るわけにはいきませんが、戦後50年間にわたって日本の社会システムを作ってきた考え方が現時点で現れているのではないかと思います。
今まで、私たちは行政が上で市民が下というような親方日の丸の、行政主導で目標を設定して運営をしてきました。
それに対して、もっと自発的に自分ができる範囲で気楽に参加できる、行政がどうのこうのではなくて、できるところからいつでもどんな仕事でもやればいいのではないかというボランティアが主流であるべきという考え方はきわめて少数意見でした。

 

●阪神・淡路大震災を機に意識の変化が

 

しかし、そのことは阪神・淡路大震災を機に大分崩れてきました。行政に全部頼って大丈夫ということは全然ありませんで、阪神・淡路大震災直後は自衛隊の派遣が遅れたとか、行政は手が回らなかったとか、いろいろな不手際がありました。
それに対して100万人のボランティアがいろいろな場所で、本当に私たちがわからない所の隅から隅まで入って行きました。マスコミの方は避難所の学校や講堂

 

 

 

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